見えない世界

陰と陽のお話③

前回は陰の話(闇の話)でした。
今回は、陽のお話を。

陰陽五行説では、木火土金水にそれぞれ感情が当てはめられています。
木〈怒〉
火〈喜〉
土〈思〉
金〈悲〉
水〈恐〉

怒、悲、恐はわかりやすくそのままです。
土 の〈思〉は思い悩む、という意味の〈思〉です。
怒、悲、恐、思、一見ネガティブに見えますが、どれも必要な要素です。
けれど、多すぎたり足りなかったりするとバランスを崩してしまうので、補ったり控えたりしましょう、というのが東洋医学の考え方のベースになっています。

さて、火の〈喜〉ですが、これは〈陽〉の要素だと考えます。
喜びは多い方がいい、と思いがちですが、多すぎるとどうなるのでしょうか。

まず医学的な観点でいくと、
〈喜〉はドーパミンやアドレナリンの管轄になるでしょう。
やる気や意欲、向上心のもとになるホルモンですが、長く出続けると体が疲れすぎてしまいます。
ピンチのときや緊張したときに出るホルモンは、よりよいパフォーマンスをするのに役に立ちますが、日常的なものではないのでは、と私は思います。

日本人はセロトニン優位の民族といわれます。
多すぎる〈喜〉は精神や心臓の負担につながっていくのだと思います。

さて、心理的な面ではどのように〈喜〉が影響するのでしょうか。
うれしい、楽しい、感情はもちろんポジティブな感情であり、少ないよりも多い方がいいでしょう。
いきすぎるとどうなるでしょうか。
小さな違和感を見過ごしてしまったり、物事を楽観視しすぎたりしてしまうことにもなるかもしれません。
陽は〈発散〉するものです。
明るく楽しそうなものや人が、必ず安全で信頼できるとは限らないのと同じで、何事もバランスが必要なのだと思います。

ちなみに中国の文献〈易経〉では、陰極まれば陽を生ずる、と書いていますが、陽極まれば陰を生ずる、とは書かれていません。
なぜ陰陽説が、陽陰説ではないのか。
深い心理がここにあるような気がしています。


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